2007年03月01日

お能・道成寺〜観世能楽堂その2

昨日の続きです。

昨日は「第十四回木月孚行能の会」での大鼓・亀井忠雄氏の魅力をトクとお話しいたしました。

さて、本日は本プログラムのメインイベントであるお能「道成寺」についてです。

3〜4年前に映画「能楽師」でこの「道成寺」という演目の一部を観てからずっと「いつか全部観たい、全て観たい・・」とずっと思っていた。今回ボスに誘っていただきその望みが叶った。

写真などないしお能の説明って難しいのだけど、この道成寺というのは普通の演目と違って特殊な演出のようなものがあるのでとても興味深い。

***あらすじ***(いただいたパンフレットからご紹介)
紀伊国・道成寺では釣鐘が失われてから、長い月日が経ち、今日はその鐘の再興供養の日です。住職は門番に境内には女人禁制であることを言い伝えます。

そこに舞を見せる白拍子が現れ鐘を拝みたいと申し出る。女人禁制と住職に言われていたが、舞をみせることと引き換えに白拍子を境内に入れる。女は喜んで舞を舞うが、周囲の隙を見て「思へばこの鐘恨めしや」と鐘楼に登ると、鐘を落とし、その中に消えてしまう。

門番から事態を知らされた住職は、この鐘にまつわる話をかたります。
「昔、まなごの長者の娘に慕われた山伏が、この寺に逃げ込み、住職達は釣鐘を下ろして山伏をその中に隠した。娘は山伏への執心あまり、大蛇となって川を渡り、追いかけてこの寺へと辿り着き、山伏を隠した鐘に巻き付くと、鐘は溶けて山伏も死んでしまったという」白拍子はその怨霊であろうと、住職達は鐘に向かって祈るうちに、鐘は再び上がり、中からは蛇体となった女の怨念が現れます。蛇体は住職達に襲い掛かりますが、祈祷の法力に負けて、日高川に飛び込むと姿を消すのでした。

****

恐ろしい程一途な女の情念の物語です。

見どころはたくさんある。

1.あの大きな釣鐘は舞台が始まる前に黒子みたいな人たちが舞台装置のように設置しておくのだと思っていた。だが、その釣鐘を数人の狂言(後見)方が運んできて吊り下げるところから始まるのだ。

2.前半の山場である「乱拍子の舞」という小鼓と白拍子の緊張感ある動きの少ない舞。小鼓の気迫のある掛け声と緊張が張り詰めた長い沈黙の間(ま)・・・実はこの静寂の中、私のお腹がグルグル鳴ってホントに困りました(汗)

3.その後一転して、「急ノ舞」にかわる。急にテンポも速くなり静から動へと展開して「鐘入り」鐘に飛び込むという緊張感
(鐘の下に入ると縁に両手を掛け、飛び上がった瞬間に鐘を落とす・・タイミングの妙は鐘後見方の腕の見せ所)

4.シテ方は狭い鐘の中で懸命に着替えているのだ

5.やがて鐘が上がり蛇体に着替えたシテ方が現れる。

6.住職に祈り伏せられるシテの蛇体の哀しみが描かれ、鐘に恨みを残しながら幕に走っていく。

7.最後はまた後見が鐘を下ろし、幕へと引いて一曲の全てが終わる。

至難の技の連続に演劇的な一貫性が求められる難曲中の難曲である。能楽の世界において「道成寺」を披(ひら)くとはじめて一人前の能楽師と認知されるとのことだ。

もう一つ私がドキドキして観ていた箇所がある。狭い鐘の中で懸命な着替えをした後、鐘が上がって蛇体となって現れる際に舞台の正面をきちんと向いているか・・。以前に後ろ向きになってしまう事がたまにあるって聞いていたからだ。でもそんな心配をよそにキッと前を向いて赤頭で現れた。(鐘の中にはどうやらいろいろな秘密があるそうです。)

小道具、舞、小鼓、大鼓のメリハリなど次から次へと見どころがあって誰でも楽しめるお能だと思う。最初から最後まで一時間半ぐらいだったかなー、お腹が空いてグルグル鳴っちゃったけどあっという間だったなぁ〜。

マニアックな題材の稚拙な文を最後までお読みくださいましてありがとうございました。今回のお能のお話しはこれで終わりです。
posted by J子 at 23:35| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | ボスのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
J子さん、こんにちわ。幼い頃父親が観世流能を習っていたので連れられて観に行った覚えがあります。内容は全く覚えていないけれど、舞台終了時に拍手をしなかったことだけは覚えています。
道成寺は歌舞伎で観ました。女の情念のすさまじさを玉三郎様が妖艶に舞う姿は圧巻です。機会があったら是非ご覧になってくださいね。
PS ニッポン文化は素晴らしい〜♪
Posted by Cecile at 2007年03月02日 06:36
Cecileさん、こんにちは〜。
お父様がお能を・・!ですよねー、お能なんてホント閉鎖的で一体何ぞや?という方が殆どなので
今回のレポートに反応してくださる方は皆無だろうな〜と思っていたので吃驚です。
歌舞伎の道成寺、いつか機会があったら観たいです!
そうおいえば昨日ボスのお能の先生のお弟子さん(ナンだかヤヤコシイけど・・)とお会いする機会が
あったのであの鐘の事をお聞きしたのです。
「着替える衣装はどのように隠されているのですか?」と。
そのお弟子さんは女性で「女人禁制ですから私も見たことはありません・・」との事でした。
ナルホド・・!ですよね〜。
Posted by J子 at 2007年03月02日 09:27
J子さん、こんにちは。
2日続けて、じっくり読ませていただきました。基礎知識の乏しい私にはあまり理解できていない部分もあると思いますが、日本の芸能の奥深さに触れていくことは、素晴らしいことだと思います。
今後も、いろいろと教えてくださいませ。
Posted by 国際結婚日記 at 2007年03月02日 17:55
J子さん、こんにちわ♪
ワタクシ白状せねばならないことに、ほんと日本文化に造詣がめちゃ浅く・・うぅ、情けなくなるくらいなのです。海外にでてよりいっそう深まるお能へのあこがれ。
能だけでなく、香道やそれこそ落語まで、「ああ、日本文化ってすばらしぃ・・」と外にいるからこそしみじみ感じて、あこがれはつのるばかりです。
恥ずかしがらずに、今度日本へいったらいろいろ訪れてみようとおもいます。
J子さんの文章を教科書に・・
Posted by コトリ at 2007年03月03日 14:48
国際結婚日記さん、こんにちは〜♪
興味ない方にはこの上なくつまらないレポートなのにお読みいただきまして心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございます!
私もボスがお能を嗜んでなければ決して縁のないもので、最初は発表会にビデオ撮りを依頼されて仕事と割り切って出かけて行ってたのです。回数を重ねるうちに素人ながらプロと素人の違いがはっきり解るようになって梅若六郎の声を聴いた時はあまりに素晴らしい声で感動して瞬きを忘れたかのように舞台を見入っていました。
でもどんなプロの舞台でも動きが少ない静かな演目だと眠くてあくびを堪えるのにやっと、という事も
しばしばありますよー。
Posted by J子 at 2007年03月04日 02:01
コトリさん、こんにちは〜♪
そんな〜、コトリさんの多方面に亘る造詣の深さには昨年ゴマさんとお会いした時に
二人して感心していたぐらいですよ〜!
私たち二人ともコトリさんのブログから伝わってくるアカデミックな部分を見逃してはいませんでしたよー、うふふ(笑)
それにお能にまつわる謡い、大鼓など興味なければ、そして縁がなければ知らなくて当たり前ですよん。私だってボスがやってなければ全然知る由もなかった世界です。
海外にいらっしゃるから今まで触れなかった日本文化への憧れが強くなる・・コトリさんのように感受性の強い方なればこそのお気持ちなんだろうと心から思いますネ。
香道という言葉自体知らない人がほとんどだと思うのにさすがコトリさん♪
私も今は、折形(おりがた)を学ぼうと思っています。お祝儀袋の武家版といったところですが、
武家社会で儀礼などに使う金品などを包む和紙の折り方です。
今はありきたりののし袋ではなく市販で素敵なものをたくさん売っているから
必要に迫られているわけではないのですが、ちょっと出来たらいいかなぁ〜って。
Posted by J子 at 2007年03月04日 02:24
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